9条連ニュース — 2010年12月20日


終わらない米国の「必要な戦争」と憲法9条

ブライアン・コバート

今年9月、FBI は米国内の数都市で、政府の戦争に反対し社会主義的思想を持つとする複数の米国人活動家の一斉捜査を行った。FBI 捜査官は「テロリズムの支持に関する活動の証拠を捜していた」と言う。コンピューターと携帯電話が何千もの私文書,手紙,本などと共に押収された。

FBI はこの2年でずっと高圧的になった。そして、この捜査は米国政府と政治的に異なる相手との長年の戦いにおける新しい、高い段階を表すものとして社会問題に関心の深い多くの米国市民によって憂慮されている。これがバラク・オバマの新しいアメリカと、彼が約束した「改革」の世界だ。

ブッシュ政権の8年間に築かれた米国内、日本を含む世界中の国々での強い反戦運動は、2008年の大統領選挙のオバマの勝利の幸福感の中に崩壊した。オバマ大統領就任以来のこれらの出来事を思い返していただきたい。

・就任の2日後、オバマは国際的に批判の強かったキューバのグアンタナモ米軍刑務所の閉鎖を命じた。大統領としての最初の最優先事項であったが、2010年11月現在、約175人の収容者が残っている。オバマは閉鎖を命じたことを忘れてしまっているかのようである。

・2010年2月、オバマは米国愛国法を延長した。これは2001年に911攻撃の1ヶ月後にブッシュによって可決されたもので、いわゆる「テロとの戦い」の名において政府に市民を監視する権限を与え米国民の権利を抑圧する、非常に不評な法である。

・2010年4月、オバマ政権は、米国に対する脅威と考えられる国外在住の米市民を「殺害目標」としてCIAと米軍に承認した。

・2010年6月時点で、アフガニスタンでの戦争は米国史上、最も長い戦争になった。それは「オバマのベトナム」と呼ばれ始めた。

さらに、いわゆる「テロとの戦い」をパキスタンまでへも広げた。しかしアフガニスタンの人々は、米国の大統領でありノーベル平和賞受賞者であるオバマの、アフガニスタン戦争を「必要な戦争」とする見解を共有しているだろうか。

この11月の英国の国際的なシンクタンクの調査によれば、アフガニスタンの人々の10人に4人は米軍が彼らの国土にいる目的は「イスラム教の破壊もしくはアフガニスタンの占領」であると考えている。

米国民の不満も募っている。11月のメディア各社の調査によれば、解答した58%の市民が「物事が悪い方向に向かっていると感じている」と答えている。

米国や日本のような民主主義社会に住む私たちは、民主主義の前向きな面を挙げることができるだろう。今こそ私たちが強い平和運動を再構築するときである。再び立ち上がり、米国政府にオバマ政権においても人権がいかに重要であるかということを知らせるため、連帯して抗議の声を大きくしなければならない。

憲法9条もまた、これまでにそうであったより、さらに重要なものとなっている。もし私たちが9条を守ることを怠り、すべての平和を愛する社会が必要とする基準としての9条を保持することに力を注がなくなったならば、9条の理念は、ちょうど私たちがみている中で増え続けている犠牲者のように「テロとの戦い」の犠牲者になってしまうことさえあるのだ。
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1959年アメリカ、カリフォルニア州生まれ。UPI 通信社、毎日新聞などで記者として勤務した後フリーランス。9条連近畿会員。同志社大学社会学部メディア学科講師。兵庫県在住。

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Brian Covert 2010)