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AT HOME IN THE WORLD
Thich Nhat Hanh
Parallax Press 2016
私たちのひとりひとりがそれぞれの居るべき場所を見つけることが、この感動的なエッセイ集のテーマです。著者は現代で最も尊敬を集める精神的指導者の1人である、ティク・ナット・ハンです。

『At Home in the World』(故郷は我が心の中に)は、ある部分ではティク・ナット・ハンの自叙伝であり、またある部分では、熟練した語り部である彼がダルマの教えを語る作品です。この本を通し、ティク・ナット・ハンは彼の人生の個人的なエピソードや経験を短い話や比喩にして、読み手に基本的な真実を伝えています。そういう点で、この本は仏教式の自叙伝作品であり、有益な情報を与えると同時に啓発を促しています。

話は主に年代順に進み、母国ベトナムでのティク・ナット・ハンの幼少期から始まります。その後、修道僧としての使命に従う少年期を経て、何十年後かには仏教指導者として国際舞台に立ち、愛する祖国から切り離されても尚、自身の心の中に居るべき場所を見つけ平和に生きている様が描かれています。

エッセイの中で、ティク・ナット・ハンの子供時代が牧歌的な村での生活から戦争の混乱へと変わる様が書かれており、さらに知られざることがこの本の中で明らかになっています。

あるエッセイでは1940年代後半にフランスがベトナムを占領していた頃が舞台です。若い仏教僧であったティク・ナット・ハンは、ベトナムの田舎で彼と同じ年頃のフランス人兵士と出会いました。その兵士は人を殺したくありませんでした。二人は互いに敵同士になることを拒み、友人となり、連絡を取り合うことを誓いました。ベトナムを離れなければならなかったその若い兵士はアルジェリアでのフランスの戦争の前線へと送られ、それ以来連絡が来ることはなく、恐らく彼は戦死したのだと思われます。

その後続いたベトナムでの米国戦争で、ナット・ハンは自国の人々の苦しみを癒すために、仏教の瞑想の伝統と物質への執着を持たないことを一つのこととしてまとめることが急務となりました。これらのエッセイの中で「行動する仏教」の最初の種がナット・ハンによって撒かれ、その後世界中で花開いたのだということが分かります。「行動する仏教」とは受け身的な仏教徒の修業と社会活動を合わせたもので、世界を全ての人達にとってより良い場所にするために、自分の周りの社会問題に関わっていくことを意味します。

また、ナット・ハンがマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師と知り合ったのも、ベトナム戦争の時期でした。彼もナット・ハンと同様に戦争反対を公言しました。キングは後に
ナット・ハンをノーベル平和賞に推挙しましたが、賞は取れませんでした。ナット・ハンがこの本の中で語るキング牧師との個人的な出会いや友情は非常に感動的です。ナット・ハンは、当時も今もキング牧師を「ボーディサットヴァ」(菩薩)、伝統仏教界において悟りを開いた存在と呼んでいます。

自然はナット・ハンに常に刺激を与え、平和をもたらす源です。彼がよく自分の本の中で書いているのは、自然の中を長く散策しながら瞑想を行うことについて、また、常に自身の呼吸に集中すること(気付きの呼吸)についてです。これらは精神的に自分自身に返るための方法なのです。ナット・ハンが長年、世界中の多くの人々に教えてきたように、これらの実践で最も重要なのは、ただ単純に現在のこの瞬間を生きるということです。どこに居ようとも、精神的には自分自身に返っていること、「今、ここに生きる」ことなのです。

「故郷」というのは、ナット・ハンにとっては特に微妙な問題です。ベトナム国内と米国、両国における彼の平和活動のせいで、彼は南ベトナム共和国の反共産政府によって永遠に市民権を剥奪されてしまったからです。この南ベトナム共和国は1960年代に米国によって支持されていました。しかし、1970年代半ばに戦争が終わった後でも尚、ベトナムの共産主義政府はナット・ハンを敵と見なし、彼が家族の元に帰り、仏教僧として人生を再び歩むことを拒否しました。ですから、真の仏教精神の中で、ナット・ハンは真の故郷に帰る方法を見出したのです。

彼は結びのエッセイの一節で「私たちの本当の故郷は抽象的概念ではない」と書いています。「それは私たちが自分の足や手や心でいつでも触れることの出来る確かな現実です。もし、私たちがそのことに気付いていれば、誰も私たちを本当の故郷から引き離すことは出来ません。たとえ、祖国が占領され、投獄されていたとしても、私たちは自分たちの本当の故郷を持つことが出来、誰もそれを奪うことは出来ないのです。」言い換えれば、本当の故郷は魂の中に存在するもので、身体の外部には存在しないということなのです。

その後、数年間に及ぶナット・ハンの亡命生活がその単純な真実の力を証明してきました。彼はフランスに
プラム・ヴィレッジ(すもも村)と呼ばれる修養道場を創設しました。この場所は彼の活動の拠点となり、ベトナムや米国を含む西洋諸国で彼の教えを広めるために役立ちました。1980年代、彼は一般の人たちとコミュニケーションを取る別の方法として、パララックス・プレス社という出版会社を米国の西海岸に作り、その会社は成功しています(この本の出版社です)。

2005年、40年近くを経て、ベトナム政府はついに彼が祖国を訪れることを許可しました。その数年後には
彼の名前の財団が米国で創設され、彼の世界的な遺産とライフワークは確実に末永く受け継がれていくでしょう。

2014年、ナット・ハンは重篤な発作に倒れましたが、ゆっくりながらも着実に回復しています。最近の写真を見ると、ナット・ハンは車椅子に乗り、ますます弱っているように見えます。それでも彼は、昨年の2017年、恐らく自身最後となるベトナムへの訪問を果たしました。

自分の故郷 — それはどこにあるのでしょうか。どうやって辿りつくことが出来るのでしょうか。一人の慎ましい仏教僧であり教師であるティク・ナット・ハンにとって、その答えは単純明快です。自分の居場所は自分の中にあるのです。あなたが誰であろうと、世界中のどこにいようと。これまでに自分がどこに属しているのか、人生の目的が何なのかについて疑問に思ったことがある人がいるかもしれません。そういう全ての人達にとって、この本は、故郷と呼ばれるその神聖な場所へ私達を導いてくれる思慮深く、思いやりのある友人のような存在です。
Finding the place in life where each of us belongs is the theme of this collection of inspiring essays by Buddhist monk Thich Nhat Hanh, one of the most respected spiritual leaders in modern times.

At Home in the World is part autobiography and part dharma lesson, as Nhat Hanh, an adept storyteller, uses short tales or parables about personal episodes and experiences of his life to convey simple truths to the reader. In that sense, we can think of it as a Buddhist-style autobiographical work — often both informative and enlightening in the same moment.

Flowing mostly in chronological order, starting from Nhat Hanh’s early years in his native Vietnam, the series of short stories paints a picture of a young boy following his monastic calling and winding up many decades later on the international stage as a Buddhist elder, separated from his beloved home country but truly at peace in his own mind just the same.

Scenes of the idyllic village life of Nhat Hanh’s childhood give way to the chaos of war, and it is in these essays that we find some of the more revealing moments in the book.

In one essay, set during the occupation of Vietnam by France in the late 1940s, Nhat Hanh, a young Zen Buddhist monk and student, encounters in the Vietnamese countryside a young French soldier around his same age who does not want to kill. Refusing to deal with each other as enemies, they become friends, vowing to stay in touch. After the young soldier must leave Vietnam and be deployed to the frontlines of France’s war in Algeria, he is never heard from again, presumably dead.

In the United States’ war on Vietnam that followed, Nhat Hanh had to reconcile the tradition of Buddhist meditati0n and nonattachment to material things with the urgent need to help relieve the suffering of his own people. In these essays, we find the first seeds of “engaged Buddhism” planted by Nhat Hanh that would later blossom around the globe. Engaged Buddhism, the linking up of passive Buddhist practices with social action, means getting involved in the problems of society around you so as to make the world a better place for all.

It was also during the Vietnam war period in the United States that Nhat Hanh made the acquaintance of Rev. Martin Luther King Jr., who, like Nhat Hanh, had come out publicly against the war. King later nominated Nhat Hanh for the Nobel Peace Prize, though that nomination was never followed up. The stories that Nhat Hanh shares in the book of his personal encounters and friendship with Rev. King are deeply touching. Nhat Hanh had referred to Rev. King back then, and still does today, as a bodhisattva — a highly enlightened being in the Buddhist tradition.

Nature is a constant source of personal inspiration and peace for Nhat Hanh, and he writes often in the book of practicing meditation while taking long walks in natural surroundings (walking meditation), along with constant, awareness of one’s own breath (mindful breathing), as a way to “return home to ourselves” mentally. The whole point of these practices, as Nhat Hanh has taught them to many people around the world over the years, is simply to live in the present moment and be mentally at home wherever you are: Be here now.

“Home” is a particularly sensitive topic for Nhat Hanh, since his peace activism both domestically in Vietnam and overseas in the U.S. got him permanently stripped of citizenship by the anti-communist government of South Vietnam, which was then supported by the U.S., in the 1960s. After the war ended in the mid-1970s, the communist government of Vietnam still considered Nhat Hanh an enemy and refused to allow him to return home to his family and to resume his life as a Buddhist monk. So, in the true Buddhist spiritual way, Nhat Hanh found a way to bring home to himself.

“Our true home is not an abstract idea,” he writes in one of the book’s closing essays. “It is a solid reality that we can touch with our feet, our hands, and our mind in every moment. If we know this, then nobody can take away our true home. Even if people occupy our country or put us in prison, we still have our true home, and no one can ever take it away.” In other words, home resides within the soul, not in a place outside of the body.

Nhat Hanh’s life in exile in the ensuing years has been a testament to the power of that simple truth. He founded a Buddhist monastery in France called Plum Village, which became his base of activities, and other monasteries in Vietnam and western countries, including in the U.S., as a way to help spread his teachings. In the 1980s he started a publishing company, Parallax Press (the publisher of this book), on the U.S. west coast as another tool of communication with the public, and the company has been a success.

It was only in 2005, after nearly four decades, that the government of Vietnam finally allowed him to return to his native country again for a visit. A foundation in his name was started in the U.S. a few years later to ensure that his global legacy and his life’s work will be carried on long into the future.

In 2014 Nhat Hanh suffered a debilitating stroke, and his recovery has been steady but slow. Recent photos show him in a wheelchair and looking increasingly frail. But he could still travel, and last year in 2017, at age 91, he made what will probably be his last visit back to Vietnam.

Home — where is it and how do we get there? For one person, Thich Nhat Hanh, a humble Buddhist monk and teacher, the answer is simple and clear: Home is within, no matter who you are or where you are in the world. For anyone who has ever wondered where they truly belong and what their purpose in life might be, this book is like a wise and compassionate friend helping to guide us to that blessed place called home.
音楽 music
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ZODIAC SUITE
Mary Lou Williams
1995
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MARY LOU’S MASS
Mary Lou Wiliams
2005
今回の音楽レビューでは、非常に素晴らしい作曲家でありジャズミュージシャン、メアリー・ルー・ウィリアムズの2枚組アルバムを取り上げます。彼女はジャズミュージックにおいて重要な人物であるだけでなく、色々な意味でジャズそのものです。彼女の音楽からは、アフリカ系アメリカ人の米国での経験に深く根ざし受け継がれてきた音楽の歴史と、その進化を感じることが出来ます。そして、その彼女の音楽は世界中で受け入れられています。

ウィリアムズは幼い頃から芸術的な才能に恵まれ、3歳にしてピアノを弾き、13歳では作曲家のデューク・エリントンのバンドでプロとして演奏していました。彼女はほぼ独学の音楽家で、半世紀を通して創造力豊かな天才として知られ、LPレコードで自身の作品を発表していました。

もともと『Zodiac Suite』(ゾディアック組曲)は、1945年に、それぞれが西洋占星術図の12個のサインに対応する曲としてレコーディングされました。当時、この作品はその独特な形而上学的テーマのために、ポップミュージック界でのちょっとした騒ぎとなりました。これはウィリアムズのピアノ独奏や、トリオ編成での演奏に焦点をあてた短い小品集です。それぞれの曲は当時彼女がよく知っていた様々なジャズミュージシャン達の肖像画を各自の星座の特徴にしたがって描いたような作品です。

ウィリアムズは様々なピアノ演奏に精通しており、作曲家、演奏者の両方において、彼女の優れた腕前はこの『ゾディアック組曲』に十分表れています。彼女は一つの星座から次の星座へと、主にスイングジャズのスタイルで作曲を行っています。それらは時に快活で時に他人にとって内省的で、そして常に感情がこもっています。

この組曲は年代順に最初の星座、『おひつじ座』という粋な曲から始まります。ウィリアムズによれば、ジャズシンガーのビリー・ホリディとサクソフォーン奏者のベン・ウェブスターの星座から発想を得たそうです。他に、デューク・エリントンやジョールイスに発想を得た『おうし座』、フランクリン・ルーズベルトから発想を得た「みずがめ座」がこの組曲に収録されています。

CD附属の解説書によれば、厳粛で真面目な倍音を伴う『やぎ座』という彼女の曲は、ウィリアムズの個人的なお気に入りの中の一曲だそうです。実は、私の星座もたまたま、やぎ座なのでこのことを知ってうれしく思いました。

『ゾディアック組曲』は当時、かなりの人気を博していたので、彼女はニューヨークの大きなコンサート会場でも数回、オーケストラにこれらの曲を演奏させることもありました。
後世のために録音されたタウンホールでの大晦日コンサートもその一つです。

スミソニアン博物館が運営する非営利の音楽会社、スミソニアン・フォークウェイズが1995年に「ゾディアック組曲」の50周年記念版を発表しました。それには、幅広い背景情報が解説書に盛り込まれており、これまで一般に公開されたことのない6曲のボーナストラックも含まれていますし、音質も大変素晴らしいです。(ここからこのアルバム
全曲が聴けます。)

1950年代、『ゾディアック組曲』の人気を受けて、メアリー・ルー・ウィリアムズ星はさらに高く上り、世界的な賞賛を浴びました。しかし、1954年、長いヨーロッパコンサートツアーの途中で、彼女はノイローゼになりました。こういうことは高い創作レベルで途切れることなく活動する芸術家には珍しいことではありません。何十年にも及ぶ音楽ビジネスのストレスと過労がウィリアムズの神経に大きな打撃を与えたのです。

彼女は米国に帰国後、ショービジネスの世界からは遠のき、より精神的に充足した生活を送ることを大切にして暮らしました。そして、ローマ・カトリックに改宗し、非常に敬虔なカトリック教徒になりました。ここで取り上げる2枚目のCD『Mary Lou’s Mass』(メアリー・ルーのミサ)はこうして出来上がりました。

スミソニアン・フォークウェイズから再発売されたこのCDは1960年代終わりから1970年代の初め頃にスタジオ収録されたものを編集したものです。このCDの曲は彼女が新たに傾倒していたカトリック信仰から刺激を受けて作られました。これらの中の数曲は短い合唱作品で、ウィリアムズがカトリック教の伝統的な儀式の一部のために特別に作ったものです。時々、彼女はこれらの曲をカトリック教会のミサでライブ演奏することもありました。ウィリアムズはこの時期に3つのミサのために曲を書いています。

このCDの他の数曲は、もともと『
Music for Peace』(平和のための曲)というタイトルの1970年に自身のレコード会社から発表した画期的なLPに収録されていたもので、才能豊かなバックアップミュージシャンの一団と若い世代のボーカリスト達がゲスト出演していました。これらの丁寧に作られた曲が当時の動揺や社会の混乱に癒しと高揚を与えるように語りかけています。そして、これらの曲に含まれるメッセージはカトリック信仰と米国でのアフリカ系アメリカ人の精神的伝統の両方が基礎になっています。

ウィリアムズの作曲家、即興演奏家としてのジャズの影響はこのCDの器楽曲など、例えば『Credo (Instrumental)』〔信条(インストゥルメンタル)〕で、最も明るく輝いています。この曲は上述のビデオクリップで取り上げられており、その中の彼女のピアノの腕前は当時のジャズの熟達者の演奏に匹敵するものです。

このCDの中の数曲はこれまで一般に発表されたことのない作品です。例えば、1969年にイタリアのバチカンの国営ラジオ放送局で、ウィリアムズがその前年のマーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の暗殺を受けて、彼に捧げた曲も収録されています。

有名なニューヨークのダンサー、のアルビン・エイリーは後に、あるダンス一座の『メアリー・ルーのミサ』というタイトルのパフォーマンスのために、ウィリアムズの『平和のための曲』を振り付けし、彼女の音楽に力強い側面を与えました。

1970年代、ウィリアムズは文芸復興のようなことや自身の作品の復活に力を入れました。人生最後の10年は、小さなコンサートホールで彼女の昔と今の曲を演奏したり、若い人達に音楽を教えたり、これまでの数十年で彼女が先駆けとなってきた様々な音楽スタイルで、有望なジャズ演奏者達を個人指導したりして過ごしました。しかし、それは厳しい道のりでした。そこに至るまで、ウィリアムズは長年に渡って、米国でのひどい性差別と人種差別の両方に果敢に立ち向かわなければなりませんでした。

1981年に71歳で生涯を終えるまでには、彼女はその時代の卓越した女性作曲家になっていました。言うまでもなく、彼女はジャズミュージックの発展のあらゆる段階を生き抜き、演奏してきた唯一のジャズミュージックの熟練者です。その歴史は黒人霊歌の最古のルーツに始まり、カンザス・シティ・スウィング時代を経て、ジャズのビー・パップ、アバンギャルド時代に及びます。

メアリー・ルー・ウィリアムズの豊かな遺産は21世紀の初頭において、近い将来に消え失せる気配は全くありません。彼女の生涯についての
ドキュメンタリー映画が最近発表されましたし、ダンサー達は今も尚、『メアリー・ルー・のミサ』を舞台で演じています。そして、彼女の名前のジャズフェスティバルがワシントンDCの名高いジョン・F・ケネディ・センターで毎年開かれ、音楽家達は、いまだに彼女への賛辞を述べています。

つまり、もし、あなたがジャズとして知られるこのポピュラー音楽についての全てを学び直したいのなら、もしくは、あなたがこの音楽を比較的最近知ったのなら、メアリー・ルー・ウィリアムズのこれら2枚の精神的なレコードに勝るものはありません。最高の作曲家であり、演奏者である彼女の高い地位は保証つきです。そして、この2枚組のCDをセットで聞けば、間違いなく、なぜ常に彼女がその高い地位にいるのかがわかるでしょう。
For the music review this time, we delve into a double dose of recordings by a very special composer and jazz musician, Mary Lou Williams (1910-1981). She was not just an important figure in jazz music; in many ways, Williams was jazz itself. In her music, we find a rich history and progression of musical heritage that is deeply rooted in the Afro-American experience in the United States and embraced around the world.

Williams was artistically gifted as a child, playing the piano as early as three years old, and performing professionally with the band of composer Duke Ellington when she was 13. Williams was mostly a self-taught musician and was considered a creative genius throughout the half-century or so that she recorded and released her work on LP records.

Zodiac Suite, originally recorded in 1945 as separate pieces of music corresponding with the 12 signs of the western astrological chart, caused something of a sensation in popular music back then due to its unique metaphysical theme. The songs are short vignettes featuring Williams on solo piano and in a trio format, painting musical portraits of the various jazz musicians she knew at the time according to the typical characteristics of their respective zodiac signs.

Williams was a master of various piano-playing styles, and her prowess as both a composer and performer are on full display here in Zodiac Suite. She glides from one astrological sign to another, drawing heavily on the jazz swing style in presenting compositions that are lively at times and introspective at others, yet always soulful.

The suite begins in chronological order with the first sign of the zodiac, “Aries”, a jaunty piece that Williams said was inspired by the zodiac sign of jazz singer Billie Holiday and saxophonist Ben Webster. Other tunes in the suite include “Taurus”, which was inspired in part by Duke Ellington and boxer Joe Louis, and “Aquarius”, inspired by U.S. president Franklin Roosevelt.

According to the CD liner notes, her composition “Capricorn”, with its serious, solemn overtones, was one of Williams’ personal favorites. I was delighted to hear this, since Capricorn also happens to be my own astrological sign.

Zodiac Suite became quite popular at the time, and Williams arranged to have it performed by an orchestra at a couple of major concert venues in New York City, including a new year’s eve concert at Town Hall that was recorded for posterity.

Smithsonian Folkways, the nonprofit record label of the Smithsonian Institution in Washington DC, released a 50th-anniversary edition of Zodiac Suite in 1995, with extensive background information in the liner notes and six bonus tracks that were never before publicly released. The CD sound quality is excellent. (You can listen to the album in its entirety here.)

In the 1950s, following the popularity of Zodiac Suite, Mary Lou Williams’ star rose even higher and she achieved wide international acclaim. It was in 1954, during a long concert tour in Europe, however, that Williams suffered a nervous breakdown of sorts — not an uncommon occurrence for artists who work continuously at a high creative level. Decades of dealing with the stress and strain of the music business had taken their toll on Williams’ psyche.

When she returned home to the U.S., she dropped out of the show-business world and devoted herself to living a more spiritual fulfilling life. She converted to Roman Catholicism and became deeply religious. That is where the second CD to be reviewed here, Mary Lou’s Mass, comes in.

This CD, also reissued by Smithsonian Folkways, is a compilation of studio recordings Williams made in the late 1960s and early 1970s that were inspired by her newfound Catholic faith. Some of these compositions, such as short choral pieces, were written by Williams specifically as part of the traditional Catholic liturgy, and Williams occasionally performed them live during mass in a Catholic church. Williams wrote and composed for three different masses during this period.

Other songs on this CD first appeared on a landmark LP titled Music for Peace that Williams released in 1970 on her own record label, featuring a bevy of talented backup musicians and vocalists of a younger generation. These finely crafted tunes spoke to the turbulence and social upheaval of the times with healing, uplifting messages based firmly in both the Catholic faith and the African-American spiritual tradition in the U.S.

Williams’ jazz influences as a composer and improviser shine most brightly on this CD on instrumental tracks like “Credo (Instrumental)”, featured in the above audio clip, where her mastery of the piano keys rivaled anything that other jazz veterans of the day were playing.

This CD also has a few tracks that were apparently never released to the general public before — including a couple of tunes that Williams dedicated to Rev. Martin Luther King Jr., which she had performed live on the official radio station of the Vatican in Rome, Italy back in 1969, following King’s assassination in the U.S. the previous year.

Alvin Ailey, the famous New York dancer, later choreographed Williams’ Music for Peace recording as a dance troupe performance under the title of Mary Lou’s Mass, adding a dynamic new dimension to her music.

Williams enjoyed something of a renaissance and revival of her work in the 1970s, spending the last decade of her life performing her old and new compositions in small concert settings, teaching music to young people, and tutoring some of the up-and-coming jazz players in the varied musical styles she had helped to usher in during the previous decades. But it was no easy journey: To get to where she was, Williams had had to face down the intractable barriers of both gender and racial discrimination in the U.S. over many years.

By the time she had passed away in 1981 at age 71, she had become the preeminent woman composer of her time — not to mention the only jazz music veteran who had lived through and performed in every phase of the development of this music, from its earliest roots in the Black spirituals up through the Kansas City swing era, and through the be-bop and avant-garde periods of jazz.

And Mary Lou Williams’ rich musical legacy shows no sign of fading into oblivion anytime soon in these early years of the 21st century. A documentary film about her life was recently released, dancers still perform Mary Lou’s Mass on stage, a jazz festival in her name is held every year at the esteemed Kennedy Center in Washington DC, and musicians still record their own tributes to her.

So, at the end of the day, if you need a refresher course on what this popular music we know today as “jazz” is really all about, or if you’re coming to this music as a relative newcomer, you need look no further than these two spiritually based recordings by Mary Lou Williams. Her high place in the pantheon of composers and performers is guaranteed, and this pair of CDs, when listened to together, shows us without a doubt why this will always be so.
映画 film
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SOUND OF THE SOUL
Stephen Olsson, director
2005 70 min.
この地球上の戦争も宗教紛争も存在しないある場所で、世界中の様々な神聖な音楽が和気あいあいと集まり、文化の多様性を祝い、人間の精神の善性を分かち合う、そんな驚くべき場所があったとしたら、それは一体どんなものでしょうか。

実は、本当にそんな場所があるのです。それは、「
Fes Festival of World Sacred Music」(世界宗教音楽祭フェスティバル)という、北アフリカのモロッコで毎年開催される音楽祭です。この音楽祭を、世界中から集まる多くのアーティスト達が、世界でも卓越した宗教イベントにしています。このドキュメンタリー映画は、その音楽祭と、彼らアーティストの感動的な話です。

ある典型的な年のフェズ・フェスティバルの内側を紹介するこの映画は、まず第一にイスラム国家としてのモロッコの歴史が根本になっています。そして、フェズ市の中心部をのんびりと散策することで、見る側にこの場所への親しみを与え、また長年に渡って見せてきた様々な宗教信仰への寛容さを示しています。

この映画の多くのゲスト演奏者の一人は、アフガニスタン伝統的歌手の
ファリダ・マフワーシュです。彼女によって、それぞれの国の文化的な純度の高さと豊かさが伝わってきます。また、ジョイントパフォーマンスもあります。例えばユダヤ人を祖先に持つ、フランス系アルジェリア人ボーカリストのフランソワーズ・アルタンがモロッコのモハメド・プリウエル・オーケストラと組んでパフォーマンスを行うことで、全ての宗教的垣根を越えた自然な文化の融合を象徴しています。

他の出演者たちはガーナ、モーリタニア、トルコ、ロシア、アイルランド、ポルトガル、フランス、英国の出身者で、彼らの全員が感情と心のこもったパフォーマンスを行っています。さらには、ニューヨークのハーレムに拠点を置く、米国の最高位「シャウト」ゴスペルのマッコロー・サンズ・オブ・サンダーが感動を湧き起こし、アフリカ系アメリカ人教会の深い精神性を持つ伝統を、改めて感じることが出来ます。

出演者、観客の両者にとって、フェズ・フェスティバルのコンサート会場はそれ自体が神秘的な雰囲気を醸し出しています。主なコンサートのほとんどが、古代の宮殿、要塞地であるバブ・アル・マキナ遺跡(バブとはアラビア語で入り口や通路を意味しています)の高い石垣の中で、夜に行われ、そしてまた、いくつかの他のコンサートはダール・バタ博物館の静かな中庭で、昼間に行われます。この博物館は伝統的なモロッコの美術工芸品の素晴らしい所蔵で知られています。

又、フェズ市の古い町、「メディナ」周辺の様々な場所では、地元モロッコの音楽家達が集い、フェズ・フェスティバルの真のスピリットを体験できそうな親密で自由な雰囲気の中で、ライブ演奏が自然に始まります。地元の音楽家達が、詠唱し、歌い、賛美する中、聴衆は高められ、まさに天国に近づいているように感じるのです。

「精神性 VS グローバル化」のテーマを軸に展開するディスカッションフォーラムも毎年フェズ・フェスティバルで企画されています。そこでは、海外ゲスト達が神から経済まであらゆることについて話し合います。しかし、このフォーラムの来賓者リストを見たら、驚かれるかもしれません。例えば、著名なタイの仏教学者、
スラック・シワラックもいます。彼は反政府社会活動家で知られる人物ですが、世界貿易機関(WTO)のトップリーダーとしてこのフェスティバルフォーラムに参加しているのです。しかしながら、少なくとも、このようなフォーラムは、敵対する両陣営の間に対話という種をまくことが出来るのです。そして、このフォーラムが多少なりとも経済、政治政策において国際レベルで良い方向に向かうように、という強い思いがこめられています。

フェズ・フェスティバルが初めて開かれたのは、米国主導の湾岸戦争(1990−91年)が終わった直後の1994年でした。人々の心に、とりわけモスリム世界の人々の心に苦痛を与えたこの戦争の深い傷跡を癒すために開かれました。このフェスティバルはそれ以来、飛躍的に成長し、この一週間にわたるモロッコでのコンサートイベントに参加した聴衆は、このイベントのことを人生を変えるような体験だと語る人も多いです。

しかし、その反面、この一年に一度のフェズ・フェスティバルには多額な資金を援助する多くのスポンサーがいることも事実であり、主として余分にお金を出す外国人旅行者達向けのイベントであることも否めません。モロッコの平均的なフェズ市住民は、海外の聴衆が群がる有料コンサートに参加できる余裕はなく、そのため、現在では、地元の音楽家達が出演する小さめのフェスティバルイベントがモロッコ国民に無料で開かれています。ですから、この年次フェスティバルの開催においては、本質的な道徳的価値観の違いが深く根付いているのです。

米国のスティーブン・オルソン監督は、愉快で伝わりやすいフェズ・フェスティバルのスピリットのありのままを映画に記録し、私達に伝えることで、この特別な場所について、またこの一年に一度のコンサートステージを飾る全ての国際的なアーティスト達について、私達自身がさらに追求していくように誘っています。唯一の欠点は、この映画のライブパフォーマンスのほとんどが比較的短く編集されていることです。これらの素晴らしいライブパフォーマンスを少なくとも一本は始めから終わりまで完全に見せてくれたら、もっと良かったと思います。

全体からみれば、このDVDは私が全てのDVDに望むものを全て備えています。適正な価格で、特別ビデオインタビューや、教材として利用できるダウンロード可能なファイル、そしてとりわけ映画のボーナスCDトラックが無料で付いているのです。この映画は物質的、精神的な両側面において、『
Sound of the Soul』(サウンド・オブ・ザ・ソウル〜魂の音)というスピリチュアル志向のタイトルにかなっており、視聴者に期待以上のものを与えてくれる作品です。

もし本物のライブを経験したいのなら、長く待つ必要はありません。次の世界宗教音楽祭フェスティバルはモロッコのフェズで6月に予定されています。
今年のプログラムに世界中から集まる音楽家達がフェズ・フェスティバル2018をこれまでの最高レベルにしてくれることは間違いありません。
One location on this planet where no war or religious conflict exists, where all the different kinds of sacred music of the world come together in harmony and peace to celebrate the diversity of cultures and to share in the goodness of the human spirit — what would such a wondrous place be like?

Actually, there is one, and this documentary film tells its inspiring story. It is the story of the “Fes Festival of World Sacred Music” held every year in the northern African nation of Morocco, and of the many artists from all corners of the globe who gather together to make this the world’s preeminent sacred music event.

Offering an insider’s view of a typical year at the Fes Festival, the film kicks off with a solid grounding in the history of Morocco as an Islamic nation and a casual stroll through the spiritual heart of the city of Fez, giving the viewer an intimate connection to this place and its historical tolerance of differing religious faiths over many centuries.

A number of guest performers that we see on film at the Fes Festival, such as traditional singer Farida Mahwash of Afghanistan, represent the cultural purity and richness of their respective countries. Others joint performances, like Françoise Atlan, a French-Algerian vocalist of Jewish descent, teaming up with the Mohamed Briouel Orchestra of Morocco, symbolize a natural fusing of culture across all religious borders.

Other artists at the Fes Festival appearing in this film hail from Ghana, Mauritania, Turkey, Russia, Ireland, Portugal, France and Britain — all of whom give soulful, heartfelt performances. A rousing appearance by the McCollough Sons of Thunder, the premier “shout” gospel band of the United States based in Harlem, New York, reaffirms the deep spiritual traditions of the Afro-American church.

The concert venues themselves at the Fes Festival possess a mystical ambience of their own, both for the performers and the audiences. Most of the main concerts are held at night within the high stone-wall remains of the Bab al Makina, an ancient palace fortress (bab meaning “gateway” in Arabic), while several of the daytime concerts are held in the quiet of the outdoor courtyard garden of the Dar Batha Museum, known for its fine collection of traditional Moroccan arts and crafts.

At various other locations around the medina, or old town, of Fez, local Moroccan musicians also gather together to perform live and spontaneously, and it is in these intimate, natural settings that we are likely to witness the real spirit of the Fes Festival. In the chanting, singing and religious praising by these local artists, we feel uplifted and literally closer to heaven.

Discussion forums centered around the subject of “spirituality versus globalization” are also organized every year at the Fes Festival, where international guests talk about everything from God to economics, and the guest list in this film may take you aback: For example, what is the renowned Buddhist scholar from Thailand, Sulak Sivaraksa, a person known for his anti-government social activism, doing at the same festival forum as top leaders of the World Trade Organization (WTO)? But at the very least, this kind of forum can plant the seeds of dialogue between the two opposing camps, with the sincere hope that it can somehow affect economic and political policies at the international level in a positive way.

The Fes Festival was first started in 1994 in the aftermath of war — the U.S.-led Persian Gulf War of 1990-91, to be exact — as a way to heal the deep divisions that such wars inflict on the human soul, especially in the Muslim world. The festival has grown by leaps and bounds since then, and audience members attending the weeklong concert events in Morocco often speak of it in life-changing terms.

But on the flip side, there is also no denying that the yearly Fes Festival has lots of big-money sponsors behind it and mostly caters to foreign tourists with some extra cash to spend. The average Moroccan resident of Fez couldn’t afford to attend the paid concerts that all the foreign audiences come and flock to, which is why some of the smaller festival events featuring local musicians are now open to the Moroccan public free of charge. So, there is that inherent gap of moral values embedded within the holding of this annual festival.

For his part, though, director Stephen Olsson of the U.S. manages to capture on film the joyous, infectious spirit of the Fes Festival as it really is, informing us and inviting us to seek out more about this special place and all the international artists who grace its concert stages once a year. The only drawback is that most of the live performances in the film are edited down to relatively short clips; it would have been good to present at least one of those magical live performances in its entirety, from start to finish.

All in all, this DVD is everything that I wish all DVDs were: a reasonably priced package with lots of freebies, such as extra video interviews, downloadable files to be used as resources for teaching and, best of all, a bonus CD soundtrack from the film. Sound of the Soul truly lives up to its spiritually minded title, in both material and immaterial ways, and gives back to the viewer much more than it takes.

And for those who want to experience the real thing live, you won’t have to wait long. The next Fes Festival of World Sacred Music is being scheduled for this June in Fez, Morocco and, this year’s program of musicians coming from all corners of the globe is sure to make the 2018 Fes Festival one of the best yet.