指紋押捺拒否者の未来はそれほど明るくない
(Future Not So Bright for Fingerprint Refuser)

牧師 不確実な将来が確実なものとなるよう法廷の判断を祈る


ブライアン・コバート
記者


大阪 —— カナダ人宣教師、ジョン・マッキントッシュ牧師は外国人登録法で定められている指紋押捺義務を拒否したことで、日本政府との争いに巻き込まれている。そんな彼にとって、来年はますます不透明な年になりそうだ。

不法滞在者である彼は、いつ強制送還されてもおかしくない状況に置かれている。

「私は『自称』在日外国人でいることを選びました。日本政府によると、私には法的地位はない、ということです。」と彼は言う。

マッキントッシュは、1952年に制定された外国人登録法の有効性に異議を申し立てている約1000人の在日外国人の一人である。この法律では、13ページにわたる証明書に、申請者の左手人差し指の押捺を要求している。

彼は、ここ生野区にある在日韓国基督教会館の長老派教会の牧師である。彼は1985年8月、外国人居住者を差別する法律だという理由で指紋の提出を拒否した。

1986年、彼は宣教のためカナダへ行き1年後に大阪に戻る予定だった。

マッキントッシュによれば、彼の出国は問題なかったが、指紋押捺を拒否したため、入国管理局によって、彼が出国する場合、日本に再入国するためのビザ申請は却下されたという。

「降参するか、それとも出て行くか、それが彼らの提案なのです。」と、彼は言った。

裁判係争中

1987年2月、彼は法務省を相手取り、入国管理局による再入国ビザ却下処分の取り消しを求めて、大阪地方裁判所に提訴した。

マッキントッシュ(53歳)は、「法務大臣の自由裁量権を行使することで、入国管理局は不当な行為を行っています。彼らは教会の使命を妨害しているのです。」と、主張する。

マッキントッシュの件を担当する大阪入国管理局は、この件はまだ調査中であるとしてコメントを控えている。

2月に予定されているマッキントッシュの出廷は、この1年で5回目となる。これまでの審理で彼は自分の主張を述べ、トラブルメーカーであるという政府からの非難から身を守ってきたという。

また、今後裁判で勝利したとしても、日本での滞在が保証されるとは限らない。

「却下が取り消されたとしても、ビザが許可されたことにはなりません。私の申請が審査中であることを意味するだけなのです。」と彼は言う。

外国人登録法では、外国人住民の指紋、写真、その他の情報を証明書に記載することになっている。

そして、同証明書は外国人住民が常に携帯し、所轄官庁の要請に応じて提示しなければならない。

また、証明書は5年ごとに更新する必要がある。

ただ祈るのみ

一部の指紋押捺拒否者は、日本の証明書による指紋押捺制度を、南アフリカで黒人を統治している「パス法」とう制度になぞらえている。

マッキントッシュ自身は「
日本のアパルトヘイトを止めろ」と書かれたカナダ製のバッジを身につけている。

「似た要素があるように思います。これ(証明書)は日本と同じように南アフリカの制度でも使われています。」と彼は述べた。

マッキントッシュが18年間暮らし、働いている生野区は、推定4万人の韓国人が住み、同区の人口の4分の1を占めている。

マッキントッシュは、外国人住民に対する指紋押捺の義務化に反対するなど、同地区の韓国人のために活動してきたが、近隣住民の一部からはあまり評判がよくない。彼は脅迫電話や度重なる破壊行為を受けているという。

彼の
妻であるベスもまた、指紋押捺拒否者であるが、二人は1965年に初めて大阪にやって来た。

それから23年間も日本に住み続けたオンタリオ州出身のこの牧師は、日本の裁判所が自分の法的地位が安定するような判決を下してくれるように祈っている。

「そのような判決が出るように祈るしかないのです。」と彼は言う。